知床四季のフォトエッセイ
秋に想う

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秋に想う
No,5 2002年11月号 著者:村石孝枝
 秋が好きだ。一般に自分の誕生月のある季節は「ラッキー」だといわれているが、 私も例にもれず、 一年のうちで自分にとって し・あ・わ・せと思える出来事は、秋に 集中している。 私の生まれ月は、9月で秋の初めだが、知床の秋は8月中旬には始まる。 今年は冷夏で8月でもストーブを炊いていた日が多かった。その分どう かはわからないが 9月、10月は比較的暖かい日が多かったと思う。 秋の初めというのは独特のはかなさがある。去ってしまう夏をいつくし みながらそれを追いかけるように始まる静かな秋・・・ 少女が大人になる時のように さみしさと華やかさの入りまじった一瞬の 美しさがあって1年の中で最も好きな季節だ。 10月になると秋が本格的に深まり それまで庭先で元気に成長していた 雑草達の力が急速に衰える。 秋の草花のいぬだてやレース草の可憐なたたずまいは深まる秋によく似合う。 レース草はかすみ草に似た小さな白い花でよく晴れた日の午後 ふっと窓の 外に目をやると庭全体を白いレース編みでおおわれたように咲いていたり する。なんとも しあわせな家庭のかおりがして「いいなあ」と思う。 11月に入ると知床連山は白く染まりオホーツクの海は連日荒れ狂う。 平地でもみぞれやあられが時々降りる。 いつ初雪になるか わからない緊張感の中でダイコン干しをして漬け物を 漬けたり 山ぶどうを採って来てジャムやジュースを作りカボチャをスープ にしてひと冬分冷凍する。 この頃では越冬野菜などという言葉も死語になりつつあるが 私は毎年農家 の友達から大根、人参、じゃがいもなどを越冬用として大量にもらう。 それを地下室の所定の場所に納めると「冬ごもり」の準備ができ上がったよ うで落ち着く。「これで吹雪で4,5日道が空かなくても大丈夫」などと 1人で悦に入るのだ。 秋の仕事のしめくくりとして家じゅうのフローリングに3日間かけてワックス がけをする。 雪のない地方なら年末の大掃除の時でも十分だが 雪深い知床では空気 の乾燥しているこの時期に終わらせるのが鉄則だ。 ついでに大掃除を兼ねて家の中をひととおり磨き上げ 自己満足に浸って いると山の方からチラリホラリと初雪がおり長い冬を迎える。
 
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写真
1枚目:サンゴ草網走市卯原内9月
2枚目:白鳥網走市北浜公園3月

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