知床四季のフォトエッセイ
調和

知床四季のフォトエッセイ
2004年
研修旅行12月
森の掟11月
フィナーレ10月
県民性 9月
真夏の夜の夢 8月
近況 6月
旅立ち 5月
調和 4月
同窓会 2月
世界で一つだけの花 1月
2003年
師走12月
早朝の港11月
星風呂の家 9月
約束 8月
それぞれの思い 7月
達成感 6月
共存 5月
春の訪れ 4月
冬のタンポポ 3月
流氷ウオーク 2月
心の栄養 1月
2002年
楽しむ12月
秋に想う11月
自然観察会INルシャ10月
輝いている 9月
笑顔の秘密 8月
無農薬 7月
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調和
No,20 2004年4月号 著者:村石孝枝
 今年は 春先に何度も「ドカ雪」が降り 雪解けが遅い。 流氷も 先日の南風に乗って一気に無くなったと思ったら 2、3日前の 寒い日に また戻って来た。  流氷は 来る時と帰る時が美しいと 云われているが 「ハス状」に 氷が広がっている 今がまさにその状態だ。  この時季 流氷の動きもそうなのだが 季節の変わり目なので 気温の 寒暖の差がかなり激しい。  ふくらみはじめた 柳の木を見て「春だ!」と思って喜ぶと 次の日は 逆転して吹雪だったりする。  だけど 春は確実に近づいているのがわかるから 北国に住む人に とっては なんとなく 心うれしい季節でもある。  そんな中 冬越をした鹿達にとっては ちょっとした試練が待っている。  ここ数年は鹿が増え過ぎたせいもあって 春先の今頃は餌不足で やせ細り 餓死する鹿も 少なくないらしい。 それに加えて 天敵である熊が冬眠から目を覚ますからだ。  冬眠を終えた熊は当然だが これから活動する前に 腹ごしらえを しなければならない。  秋のように 川に鮭は登らないし 木の実もまだないから 熊にとっても 深刻だ。  それで熊は なるべく体力を使わずに 鹿を仕留める方法を取るという。 今の時季だと 溶けかかった雪はとても堅くて 鹿は滑って骨折したり 堅雪の割れ目に足をとられて 抜け出せなくなったりする。  熊は できるだけ雪の上に鹿を追いつめて 自ら怪我するのを待ち 一気に襲うのだそうだ。 鹿が滑って困る堅雪も 熊には爪がタワシのように スベリ止めになり 好都合らしい。  先日「知床ナチュラリスト協会」で 自然ガイドの仕事をしている友人から 熊に追いかけられた雄鹿が ついに倒れて それを熊が血だらけになって 内臓を食べ散らかしていたと聞いた。  丁度 仕事中だったらしくて お客様を2人案内していたが その光景が あまりにもショッキングで 気分が悪くなってしまい その内の1人は 夕食が取れなかったと言っていた。 「こんな すごいのを見たのは この仕事をしていて はじめてですよ。 普通は 雄鹿は角を持っているので危険度が高いから 避けるんですけどねえ」 と かなり興奮気味だった。  これは 次の日の新聞の一面にも大きく取り上げられて 「雄鹿を食う熊」の写真が載っていた。  こうして冬眠あけの熊と 越冬した鹿との戦いは 知床の原生林の中で 毎年繰り広げられているという。  弱肉強食とは よく言われているけれど こんな風にして自然は 丁度よく調和しているのかなあと思うと やはり 知床に生きる 一動物として 私達人間も謙虚な気持ちが宿る。
 
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写真
1枚目:海明け常呂町3月末
2枚目:知床岩尾別温泉4月

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