知床四季のフォトエッセイ
フィナーレ

知床四季のフォトエッセイ
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フィナーレ
No,25 2004年10月号 著者:村石孝枝
 今年の秋は珍しく 紅葉が美しい。先日の土曜日には 半島の反対側の ラウス町から知床峠を超えて ウトロまでの知床横断道路全線25キロを 歩くという「知床紅葉ウオーク」なる催しがあった。  これは歩きながら 秋の紅葉を楽しもう!という企画で 参加者は全国 各地から約490人もが集まった。  開会式には 高円宮妃久子様も出席されて激励の言葉をかけられたそうだ。 この横断道路は 夏期限定で雪が降ったら閉鎖してしまうという 北国仕様が特徴だ。  だから ウトロとラウスは 夏は近い隣町だけれど 冬は遠回りして 行かなければならない 近くて遠い町となる。  横断道路は 標高が高い分 景色は絶景で 若葉の頃からずっと訪れる 観光客を楽しませてくれる。  紅葉ウオークに参加した「○○歩こう会」の元気な おじさま おばさま 方は 口々に「イヤー本当によかった」「あんなに きれいな紅葉は 見たことないよ」と ホテルのお店に来て 満足そうに話してくださった。  それを聞いて 私も急に紅葉が見たくなり 翌日知床峠まで 車を 走らせた。  知床の紅葉は 8月下旬から始まり ゆっくり進行し 気が付くと あたり一面が色づいていて「秋なんだ」と感じる。  そして この頃に必ずといっていい程 大風が吹いたり 台風が 来たりして 葉っぱは落ちてしまい 紅葉の途中で終わる年がほとんどだ。  それが今年は 台風が来ても それほど影響はなかったし 強風も 吹かなかったのに加えて 夏に猛暑がつづき 寒暖の差が激しかったのも 良かったのかもしれない。  例年だと「赤色」が少ない知床の紅葉だが 今年は近年にない程 色がきれいだ。  峠の頂上は もう終わりに近いが 途中の尾根のあたりは ナナカマドの 赤い色々がひときわ鮮やかだ。  それを引き立てているのが ダケカンバの黄色で 絵の具のチューブを そのまま塗ったかのような ハッと息をのむ美しさだった。   いわば この季節は 春から育った木の葉達の「フィナーレ」であり さみしさの中に ちょっと華やかさも感じられて 私は好きだ。  自然と一緒に暮らす知床の人々にとっては これからやって来る冬への はかなくて美しい 儀式のようにも思える。
 
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写真
1枚目:阿寒オンネトー11月
2枚目:池の湯屈斜路湖10月

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