知床四季のフォトエッセイ
自然観察会inルシャ

知床四季のフォトエッセイ
2004年
研修旅行12月
森の掟11月
フィナーレ10月
県民性 9月
真夏の夜の夢 8月
近況 6月
旅立ち 5月
調和 4月
同窓会 2月
世界で一つだけの花 1月
2003年
師走12月
早朝の港11月
星風呂の家 9月
約束 8月
それぞれの思い 7月
達成感 6月
共存 5月
春の訪れ 4月
冬のタンポポ 3月
流氷ウオーク 2月
心の栄養 1月
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秋に想う11月
自然観察会INルシャ10月
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自然観察会INルシャ
No,4 2002年10月号 著者:村石孝枝
 熊に対するイメージは「怖い、猛獣、大きい」といろいろだが、どれ も当たっていると思う。でも今回「自然観察会INルシャ」に参加して、 印象は少しずつ変わりつつある。  カムイワッカ湯の滝を越え、知床大橋よりさらに奥へエンジンが焼き 切れそうな山道を車で30分断崖絶壁や原生林をくぐり抜け、「未知の 土地」ルシャの番屋に到着した。こちらの意気込む気持ちが相手に伝わ ってしまうのか前半はなかなか熊の姿を観ることはできなかった。  半ばあきらめかけて、子供達と番屋の方々の温かい心尽くしに感謝し つつ昼食をとっていると「あ、熊だよ、あれ!」一斉に外へ出たこちら の、慌ててビデオやカメラをセットする姿に比べ熊は驚く程さり気ない。 よく熊には「雄大な」とか「悠々と」などの形容詞が使われるがそうい う言葉はあまり似合わない。ルシャの熊はあくまでもさり気ないのだ。  みんなで一頭に集中していると、海岸にもう一頭がフラリフライとお りてきた。こちらは全身が栗色で頭の上の部分は金髪がかかって見えた。 私はこの時熊の色が黒一色でないことを初めて知った。  先の一頭は浜に打ち上げられたイルカの死骸を食べに来ていたのだが、 後から来た金色の熊がえさを見つけても奪い合ったりはしない。ちゃんと 順番をまっているのだ。その姿には謙虚さえ感じてしまう。 そういえば出発前に自然センターの方から聞いたお話の中に「熊は犬歯 が発達しているものの奥歯は草食動物と同じ形の臼歯を持っている。」 と言われたのを思い出した。 「からだの割にはあごも小さいし、意外と優しい感じ・・・。」そんな ことを考えながら前方を見ると番屋に近づき過ぎた先ほどの一頭が 「ホレ!ここに来るんじゃない!」と漁師さんに叱られている。 「熊を叱る人!?」映画の中のワンシーンのような出来事になんだか だんだん現実離れした世界に入り込んでしまった。  私の知人に熊と「森の中を30分程一緒に歩いたことがある」という 人がいる。その話を聞いた時にはとても信じられなかったけれど、この 光景には「そんなこともあるかなあ」という気持ちになるから不思議だ。 私にとっては知床大橋のゲートを通り抜けただけでも冒険だったように 一歩でも自然に深く足を踏み入れてみると、現実離れだと思っていたこ とが実は真実だったり、その逆も考えられる。  そして熊も人も、いろいろな動物も花や木も同じように この知床に 生息していて、それは自然を作り上げている大切な一部分なのだと改め て気付いた。
 
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写真
1枚目:ヒグマ知床10月

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「知床四季のエッセイ」著作 村石孝枝
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