知床四季のフォトエッセイ
春の訪れ

知床四季のフォトエッセイ
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春の訪れ
No,10 2003年4月号 著者:村石孝枝
 4月上旬といえば 関東地方あたりでは 春爛漫というところだが 北海道ではそうはいかない。特に今年は積雪量が多くて まだまだ家の まわりは雪に囲まれている。  それでも 春一番は 一週間程前に吹き 流氷は一晩で 一気に無く なった翌朝 久しぶりに青い海を見ると「春だなあ」と感じたが その夜に またまた 北風が吹き荒れ吹雪になった。 風景は一面の流氷原になり 真冬に逆もどりした気分だった。  こんな いったり来たりを3,4回 くり返しながら 春は だんだん 近くなる。  雪がまったく無くなるのは 4月の中旬くらいだが 毎年不思議に 思うのは 植物たちは ちゃんと雪の下に 緑色の葉っぱを 小さく たたんで 季節がくるのを待っている。  だから あっという間に 芽吹きを迎え 「あれ もうずっと前から 春だったのかな」と錯覚しそうになる。  それから しばらくすると 新緑と新緑のあいだに 薄ピンクのかたまりが 見える。これが山桜だ。  北海道では 本州のように桜の木の下で「場所とり」をして 大宴会を する というような花見は あまりしない。特に知床は平地が少ないので 山桜が一般的だ。でも 花見というイベントは 仲間うちでけっこう 盛大にやっている。 バーベキューに焼き肉 焼き蟹や帆立と ごちそうもすごい。  たいてい 桜の花は 山から ひと枝だけ折ってきて バケツに入れて 置く程度の 形式だけのものなので 無くても問題はない。  それよりも 何よりも 皆、やって来た春がうれしいのだ。  北国の冬は 本当に長いから「雪どけ」という言葉の響きには ある種の 達成感のようなものがある。「共に冬を越えた」という仲間意識が みんな を元気にしているのかもしれない。  また季節が変わるということは 自然の力のすごさや 生命のいぶき みたいなものを肌で感じるから 少し背筋を伸ばしてみたくなる。
 
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写真
1枚目:海明け網走市北浜駅4月

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「知床四季のエッセイ」著作 村石孝枝
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