知床四季のフォトエッセイ
それぞれの思い

知床四季のフォトエッセイ
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それぞれの思い
No,13 2003年7月号 著者:村石孝枝
 6月29日(日曜日)は 予定どうり山の会の登山の日だった。 行先は 直前まで 羅臼岳だったが 春先の大雪の為か 羅臼平の手前に まだ かなり雪渓が残っているという 情報がはいったので 急きょ変更して 摩周湖の近くの 西別岳に決まった。  登山口までは ウトロから車で2時間程かかり「たまには遠出もいいね」 と 早朝ドライブを楽しんだ。  山そのものは ハイキングコースと登山の中間程度で 私達、挫折隊も 挫折なしで登れた。  いつもなら 顔の引きつっている 友達も今日は 笑顔を振りまいている。 山には よく女性的とか 男性的などという 表現が使われるが その意味 では 西別岳は女性的だと思う。それも 春が似合う少女という感じだ。  あたり一面は草原で 丈の低い熊笹の間から イワツツジやガンコウラン などの 高山植物が びっしりと咲いている。  この日は 朝から かなり霧が深くて 30メートル先は見えない程だった。 白い霧に包まれていると 今、自分がいる場所が ポッと宙に浮いているように 思えて 幻想的な気分になれる。 「昔 高校の美術部で行った 軽井沢のスケッチ旅行の風景に似ているなあ。 あのときは あこがれの先輩も一緒だったけ」 などと 時々乙女にもなれる。  それにしても いつもは苦しいだけの「登り」に こんなにも気持ちの ゆとりが持てるなんて。  人間 能力に見合った環境を与えられると 想像力まで ちゃんと 機能するのだろうか。  下山してからも 温泉にはいり 元気に反省会の準備をした。 「そこ ビール足りてる? お肉焼けてるよ」と いつもは絶対にしない 気配りまでして「今日は本当に楽しかったね。たまには 気軽に登れる 山もいいよね」と みんなの顔を見回した。

 なぜかいつもより静かだ。

「どうしたの?」と聞くと 隊長は キッとした顔で 「これじゃダメです。この2人が こんなに元気じゃ。 やっぱり 西別岳は軽すぎました」という。 「そんなことないよ。私達 オロンコ岩で鍛えたんだよ。努力したの」 と反論しても 「もう歩きながら 眠たくなっちゃったよ」 「あれは 登山前の足ならしに丁度いいね」と それぞれに 不満をもらしている。 聞いてみなくちゃ わからないって こうゆうこと言うのかなあ・・・ 妙なところで関心してしまった。ということは 「私達が『疲れたとか 先に行って』と挫折しなくちゃダメなの?」 「そうです。その通り!」 「挫折隊を卒業したいなら 新しい人を連れて来て!」とまで言っている。 人の苦しむ姿を見て 自分達が頑張れるなんて性格悪いよと 出かかった言葉をのみ込むと 「秋はもっとキツイ山にしましょう!」 話は決まったところで 反省会は ふたたび盛り上がり 夜更けまでつづいた。

 今号で2年目にはいりました。1年間「知床四季のエッセイ」を 読んでくださってありがとうございました。 これを書くようになってから 日常をていねいに生活をするようになりました。 これからも 続けてまいります。よろしくお願い致します。

 
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写真
1枚目:小麦畑小清水町7月
2枚目:ジャガイモ畑小清水町7月

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「知床四季のエッセイ」著作 村石孝枝
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